| カズの記録 |

肺がん治療ネット事務局より引用


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パンコースト腫瘍(肺尖部胸壁浸潤がん)

Pancoast tumor


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症状

発見されにくい肺がんで、肺の頂上(肺尖部:はいせんぶ)に肺がんができると、外に浸潤して、色々な症状を起こします。これをパンコースト腫瘍(しゅよう)と呼びます。この肺がんは早期発見が難しく、治療も容易ではありません。また、この部位にできた肺がんを肺尖部浸潤肺がんと呼びます。

肺がんは色々な症状を起こします。肺がんは発生する場所で2つに分けられます。肺の根元の気管支に起きる肺がんと、肺の末梢にできる肺がんです。肺の根元にできた肺がんは、症状を起こしやすく、治りにくい咳や痰、とくに血痰、呼吸時の喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー音)、息切れなどを起こします。一方、肺の末梢に大きな肺がんができていてもなかなか症状はでません。それは肺の中にあると症状を起こしにくいからです。

しかし、肺がんが肺の末梢にできても症状を起こすときがあります。例えば、胸壁にがんが進行したときです。このときには胸が痛くなります。パンコースト腫瘍では、肺の頂上(肺尖部)の肺がんが周囲の胸壁に達して、その部位の神経を侵すことにより多彩な症状が起こります。例えば、がんが上に進むと首から出る神経を侵すことによって、最初のうちは腕の内側が痛くなり、腕の痛みやしびれが起きます。背骨の横の交感神経が侵されると、肺がん側の目が細くなる、瞳孔が小さくなる、汗が出なくなるといった症状がでます。肋間神経が侵されれば胸や肩の痛みも出ます。このパンコースト腫瘍や、それほど症状のない同じようなところにできた肺がんをまとめて肺尖部胸壁浸潤肺がんと呼んでいるのです。

末梢の肺がんはレントゲンで捉えやすく、健康診断で発見される場合がしばしばあります。しかし、肺尖部の肺がんは鎖骨(さこつ)などのために肺の影がみにくく、レントゲンでの発見が難しいのです。たとえ強い症状があってもパンコースト腫瘍や肺尖部浸潤肺がん発見されにくいのです。そのために整形外科などでレントゲン検査をうけて、投薬を受け、後になってから発見されることがしばしばあります。

検査

肺がんの検査と同様に、痰の顕微鏡検査、気管支鏡の検査、がんに直接外から針を刺す検査があります。

治療法

肺尖部浸潤肺がん(パンコースト腫瘍)が進行してからの治療は困難です。なるべく早く発見して放射線、あるいは放射線と手術を組み合わせて治療します。また抗がん剤の治療を行うこともあります。

予防法

医師はレントゲンの検査を行っても、科によって見るポイントが異なります。腕や肩の痛みがあって、進行するようなら一度呼吸器科あるいは呼吸器外科の診察を受けると良いでしょう。


(文責:秋葉 直志)

 


 

肺がん治療ネット事務局

    東京慈恵会医科大学 呼吸器外科
    Department of thorachi surgery
    The Jikei university school of medicine

秋葉 直志  Tadashi Akiba